あなたの新語を
辞書に載せよう
大辞泉が選ぶ新語大賞2025 大賞発表
第10回 大辞泉が選ぶ 新語大賞発表
-
大賞
【緊急銃猟】
人間の生活圏にクマ、イノシシが出没した際、安全確保の条件の下で、市町村が委託した者による銃猟を可能とすること。
※クマサンポさん投稿の語釈 -
次点
【ビンテージ米】
古古米や古古古米の言いかえ。ビンテージは古くなって価値が上がるものを指すので、この場合は皮肉。
※アサミシンブンさん投稿の語釈 -
次点
【しごでき】
仕事ができて、かつ手際がよいこと。またその人。
※yuchanさん投稿の語釈
2025年
新語投稿数
ベスト10
- 【ビジュ/ビジュいい】
- 【トランプ関税】
- 【令和の米騒動】
- 【えっほえっほ】
- 【チャッピー】
- 【MAGA】
- 【オンラインカジノ】
- 【退職代行】
- 【しごでき】
- 【半鬱】
※【メロい】も上位でしたが、昨年も投稿ベスト10入りしていたので除外しました。
選評
選考委員
-
明治大学国際日本学部教授
田中 牧郎たなか まきろう
1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学 部・教授。国立国語研究所・運営会議委員。主な著書に『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『コーパ スと日本語史研究』(ひつじ書房/共著)ほか。
【緊急銃猟】
震災、コロナ、物価高の次はクマ。
新たな戦いに追われる私たち――
大賞
深刻度は地域によって差がありますが、クマ出没は人命にかかわる大問題です。それを反映して【緊急銃猟】【ガバメントハンター】【クマ禍】などの新語が寄せられました。クマ関連語では、『大辞泉』は昨年4月に【アーバンベア】を立項。2023年ごろから市街地出没が話題になっていたことに対応しました。そして今年、人的被害は増加し、秋には話題にならない日がないほどでした。【緊急銃猟】は9月に制度化されましたが、発砲の許可者が増えただけで、猟友会の負担は減っていません。地球的な環境問題の一端なので、森林でのクマのエサ不足はそう簡単には解消しないでしょう。クマが冬眠している時期にこそ、来年以降の対策をしっかりと練ってほしい。そんな願いを込めて、今年の大賞としました。
根本原因は何も変わりません。
【ビンテージ米】
ココココ…
と言いづらい言葉を明瞭化。
しかし、やっぱり皮肉な意図が――
次点
投稿数としては【令和の米騒動】の方が多かったのですが、編集部は【ビンテージ米】を次点としました。『大辞泉』には【古米】【古古米】は立項済ですが、今年はさらに古い【古古古米(2021年産)】【古古古古米(2020年産)】まで放出されました。古い米を「ビンテージ」と呼んだのは小泉農水大臣(当時)だという報道と、それは誤報だったという報道があります。「ビンテージ」は経年によって価値が増した物のことなので、世間では皮肉を込めた言葉として失笑とともに使われました。しかし、大手コンビニが2023年産の米を使ったおにぎりを「ビンテージ2023」と銘打って販売。これには呆れる声も多かったようです。ちなみに2023年産は【古米】なので【ビンテージ米】と呼ぶにはやや新しいですね。
収量も増。来年は安定すると良いですね。
【しごでき】
略語の王道「4文字化」の典型例。
来年の新語、皆さんも作ってみて!
次点
【しごでき】は2019年ごろから見られるようになった言葉で、昨年は三省堂『今年の新語2024』で4位となりました、今年は『大辞泉』への投稿としても上位だったので次点としました。「がくちか=学生時代にチカラを入れたこと」「おやかく=内定前の親の確認」など、就職活動にまつわる4文字(音)略語が使われだしたのが2015年ごろからですから、その世代が社会に出て、仕事ができる同僚に憧れて【しごでき】と言い始めているのかもしれません。「パソコン」「キムタク」「朝ドラ」「棚ぼた」など、4文字(音)化は日本語の略語形成の王道パターンですから、今後も類似の新語がどんどん生まれることでしょう。
【しごでき】には憧れるようです。
月間賞
ご応募いただいた新語の中から毎月、編集部が選定した月間賞を発表いたします。
5・6月の月間賞
皐月・水無月
7月の月間賞
文月
8月の月間賞
葉月
9月の月間賞
長月
10月の月間賞
神無月
11月の月間賞
霜月
投稿された語釈がそのまま収録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し『大辞泉』各種アプリなどに収録する予定です。
これまでの受賞作品
第9回(2024年)
第8回(2023年)
第7回(2022年)
第6回(2021年)
第5回(2020年)
第4回(2019年)
第3回(2018年)
第2回(2017年)
第1回(2016年)
第9回
2024年
大賞
【ホワイト案件】
本来は犯罪にならない仕事のことだが、SNSで強盗などの闇バイトがホワイト案件と偽って募集されることがあり、社会問題となっている。
※ウッシャンさん投稿の語釈
次点
【フキハラ】
「不機嫌ハラスメント」の略。これみよがしなため息など、不機嫌さを押し出すハラスメント。
※妥協老人さん投稿の語釈
次点
【静かな退職】
企業に属しつつ、やりがいを求めず、必要最低限の仕事のみ淡々とこなす働き方。あたかも退職したかのように、仕事に対するエネルギーを失いつつ働くこと。
※クラゲさん投稿の語釈
2024年の新語投稿数ベスト10【50-50(フィフティ-フィフティ)】【インプレゾンビ】【風呂キャンセル界隈】【猫ミーム】【ホワイト案件】【メロい】【もしトラ】【石丸構文】【マルハラ】【無課金おじさん】
※【推し活】も上位でしたが2022年、2023年も投稿ベスト10入りしていたので除外しました。
第9回(2024年)
大賞
【ホワイト案件】
本来は犯罪にならない仕事のことだが、SNSで強盗などの闇バイトがホワイト案件と偽って募集されることがあり、社会問題となっている。
※ウッシャンさん投稿の語釈
次点
【フキハラ】
「不機嫌ハラスメント」の略。これみよがしなため息など、不機嫌さを押し出すハラスメント。
※妥協老人さん投稿の語釈
次点
【静かな退職】
企業に属しつつ、やりがいを求めず、必要最低限の仕事のみ淡々とこなす働き方。あたかも退職したかのように、仕事に対するエネルギーを失いつつ働くこと。
※クラゲさん投稿の語釈
2024年の新語投稿数ベスト10【50-50(フィフティ-フィフティ)】【インプレゾンビ】【風呂キャンセル界隈】【猫ミーム】【ホワイト案件】【メロい】【もしトラ】【石丸構文】【マルハラ】【無課金おじさん】
※【推し活】も上位でしたが2022年、2023年も投稿ベスト10入りしていたので除外しました。
閉じる
第8回(2023年)
大賞
【生成AI】
あらかじめ学習したデータをもとに、画像・文章・音楽・デザインなどを新たに生成する人工知能の総称。拡散モデルやGANなどの機械学習の手法により、文章からイラストを作成する画像生成AIや、人間と対話しているかのような自然な言葉遣いで文章を生成する対話型AIなどが開発されている。
※大辞泉の語釈(4月立項)
次点
【闇バイト】
強盗や詐欺などの犯罪の一部分をアルバイトとして代行すること。
※のんちゃんまんさん投稿の語釈
次点
【蛙化現象】
心理学で、好意を持つ相手が、自分に好意を持ち始めると、相手に嫌悪を感じる状態、嫌われるかもしれないという不安から起こる自己防衛とみられている。
※大辞泉の語釈(10月立項)
2023年の新語投稿数ベスト10【アレ】【タイパ】【インボイス】【ChatGPT】【蛙化現象】【アフターコロナ】【生成AI】【闇バイト】【かわちい】【ペッパーミル】
閉じる
第7回(2022年)
大賞
【キーウ】
ウクライナの首都。同国中北部、ドニプロ川中流に沿う工業都市。精密機械工業が発達。9~13世紀にキーウ公国の首都として繁栄。ギリシャ正教協会などの名所・旧跡が多い。キーフ。ロシア語名キエフ。
※大辞泉の語釈
次点
【国葬儀】
国葬のようで国葬でない葬儀。
※まここしゃんさん投稿の語釈
次点
【メタバース】
心《meta(超越した)とuniverse(世界)の合成語》インターネット上に構築される仮想の三次元空間。利用者はアバターと呼ばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する。
※大辞泉の語釈
2022年の新語投稿数ベスト10【2世信者/宗教2世】 【ウクライナ侵攻】 【ととのう】 【大谷ルール】 【顔パンツ】 【メタバース】 【知らんけど】 【国葬儀】 【インボイス制度】 【おじさん構文】
※【マスク美人】【推し活】も上位でしたが、2021年も投稿数ベスト10入りしていたので除外しました。【ととのう】は一般的な「整う」でなく、サウナで爽快になるという意味での投稿でした。
閉じる
第6回(2021年)
大賞
【親ガチャ】
子供がどんな親のもとに生まれるのかは運任せであり、家庭環境によって人生を左右されることを、カプセルトイのランダム性に例えた言葉。
次点
【人流】
人の、移動を伴う一連の動静。また、人々の流動や動線。
※大辞泉2021年4月立項
※大賞の【親ガチャ】の語釈は一般から投稿されたものです。今後、編集部で立項の採否を検討し、立項する場合は、執筆陣による語釈が『デジタル大辞泉』に収録されます。
※次点の【人流】の語釈は2021年4月に既に『デジタル大辞泉』に立項済みです。
2021年の新語投稿数ベスト10【親ガチャ】【人流】【ゴン攻め】【推し活】【まん防】【副反応】※1【マスク会食】【マスク美人】【マリトッツォ】【SDGs】※2
※1は2011年、※2は2017年に『大辞泉』に立項済みですが、2021年あらためて話題になり、多く投稿されましたので、投稿数ベスト10から除外しませんでした。
閉じる
第5回(2020年)
大賞
【三密】
①密教で、身・口・意の三業。手に印を結ぶ身密、口に真言を唱える口密、心に本尊を観念する意密。
②感染症の蔓延を防ぐために、人々が避けるべき3つの行動。換気の悪い密閉空間に居ること・多くの人が密集する場所に居ること・近距離での密接した会話をすること。令和2年(2020)、COVID-19流行の際に東京都が提唱した。
次点
【コロナ禍】
新型コロナウイルス感染症の流行によって引き起こされる、さまざまな災い。感染症自体だけでなく、それを抑止するための経済活動の自粛や停滞、人々の疑心暗鬼なども、広く含む。
※【三密】の(1)は1995年刊の『大辞泉』初版から掲載されている既存語釈です。
※どちらも編集部執筆の正式な語釈で、【三密】(2)は2020年4月に既に、【コロナ禍】は12月に公開予定です。
2020年の新語投稿数ベスト10【経年美化】【コロナウイルス/新型コロナウイルス】【コロナ○○】【自粛警察】【三密】【オンライン○○】【ぴえん】【アベノマスク】【おうち時間】【Go To ○○】
閉じる
第4回(2019年)
大賞
【イートイン脱税】
食品を持ち帰り税率の8パーセントで会計して、イートインで食べること。本来であればその場で食べる場合は税率10パーセントで会計しなければならない。
次点
【闇営業】
芸人がプロダクションを通さないで仕事を請け負うこと。また特に、裏社会からの誘いで仕事を請け負うこと。
次点
【にわかファン】
心これまで関心がなかった物事に対し、流行等で急に興味を持ち、その事柄についてよく知っていないがファンになる人のこと。
2019年の新語投稿数ベスト10【タピる】【令和】【上級国民】【ワンチーム】【闇営業】【タピ活】【草(草生える)】 【ポイ活】【イートイン脱税】 【にわかファン】
閉じる
第3回(2018年)
大賞
【空白恐怖症】
自分の仕事がないときに、あたかも仕事をしているように見せるためにダミーの予定やフェイクの予定を入れるほど、自分の予定が空白な事を恐れること。
次点
【卒婚】
結婚の卒業。結婚という形式は維持しながらも、夫婦が互いに干渉せず、それぞれの人生をそれぞれに歩んで行く。
次点
【ご飯論法】
言い逃れ答弁の論法で、「朝ごはんを食べましたか?」という質問に「(朝、パンは食べたけど、ごはん=米飯は)食べていない」と答えるようなやり方。
最終選考まで残った2018年の新語11選【億り人】【フェアプレーポイント】【じたハラ】【空白恐怖症】【介護脱毛】【いみふ】【スーパーボランティア】【まるっと】【卒婚】【多浪生】【ご飯論法】
閉じる
第2回(2017年)
大賞
【インスタ映え】
写真投稿サイト「インスタグラム」に投稿したときに、多くの読者から共感を得られる写真の出来映えの良さ。
最終選考まで残った2017年の新語7選【文春砲】【都民ファーストの会】【横入り】【シンデレラフィット】【希望の党】【ガチ勢(ぜい)】【パラダイス文書】
閉じる
第1回(2016年)
大賞
【トランプ-ショック】
2016年のアメリカ大統領選挙で、ドナルド=トランプ候補が勝利したことで起こった、金融市場などの混乱。
最終選考まで残った2016年の新語9選【熊本地震】【顔芸】【ブレグジット】【インスタグラマー】【セカンド-レイプ】【ジェンダー-レス】【消しカス】【ポケモノミクス】【茹でこぼし】
閉じる
※二季は『大辞泉』既収録の言葉ですが、新しい意味として選考しました。