大辞泉が選ぶ新語大賞とは

選考結果発表

投稿総数

1,838本

  1. 大賞
  1. 次点
  1. 次点
  • 選評

    【選考委員】

    田中牧郎(たなか まきろう)

    明治大学国際日本学部教授

    プロフィール

    1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学部・教授。日本語学会・理事。文化審議会国語分科会・委員。主な著書に『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『言語の標準化を考える』(大修館書店/共著)ほか

    ≪総論≫コロナ新語は出尽くし?しかし代わって登場の新語も暗い世相を反映

    1,838件いただいた投稿から、今年は34の言葉を月間賞としました(ページ下方参照)。振り返ると、コロナ関連は【匿顔】【顔パンツ】【黙撮】と軽めの3語のみ。新型コロナは今年も第6、7波を引き起こし、第8波が懸念される今も「収束した」と言える状況ではありません。しかし、一般で話題になる機会は減っているように感じます。ここ2年半で「コロナ語彙からの新語」は、ひとまず出尽くしたのではないでしょうか。 代わって今年は、国内外で戦争と暗殺という大事件が発生しました。しかし、どちらも「21世紀の今なお、こんな惨事が!」と、私たちを過去に引き戻すかのような出来事であり、それゆえ、全く未知の新語が生まれる要素は少なかったようです。【宗教2世】【非ナチ化】などに月間賞を差し上げましたが、厳密には新語とは言い難いでしょう。暗い言葉を選ぶのは、これっきりにしたいと願わずにはいられません。

    ≪大賞≫【キエフ】から【キーウ】への変更がもたらした「新語」体験

    「地名が新語?」しかも「新しい街でなく、古くからの首都でしょ?」と、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、編集部との協議の末、ウクライナ語の【キーウ】は日本では「新語」にあたるとして、今年の大辞泉新語大賞としました。日本の外務省は、ウクライナ侵攻の約1か後、これまで使っていたロシア語の呼称【キエフ】からの変更を決め、マスコミ各社も追従しました。ウクライナ政府は以前から同国語で呼ぶよう求めていましたが、日本政府は対応していませんでした。今回の変更は、侵攻への非難を込めた異例の即決だったと言えます。ただ、ウクライナ語のドニプロ川(ロシア語ではドニエプル川)など、両国にまたがるものはどう呼ぶのかなど、日本全体のコンセンサスは未形成です。こういった課題を残しつつ、今年、「ことばが動く・変わる」ことを端的に示したトピックとして、大賞としました。

    大型の地図ではキエフとキーウを併記しているものも、戦争前からありました。(「世界大地図」小学館)
    ≪次点≫【国葬】と【国葬儀】の違い、辞書は今後、どう示せるか

    9月に執り行われた安倍晋三元総理の葬儀を、政府は【国葬儀】と呼んでいます。【キーウ】が官民ともに呼称が統一されているのに対し、マスコミの多くは【国葬】としており、食い違いが生じています。【国葬】はもちろん大辞泉に既存なので新語ではありません。一方、【国葬儀】は知りうる限り全ての国語辞典に載っていません。「国葬は弔意を国民に強いるもので、その意図は無いことを言い逃れるための造語だ」と、批判する声もありますが、1967年の吉田茂元総理の葬儀も【国葬儀】だったので、今年生まれた造語ではありません。辞書には載っていない極めて不思議な言葉で、岸田首相もその違いについて「一概にお答えすることは困難」と答えています。しかし、国によって2回も行われた行事を、辞書が立項しないわけにはいきません。現在、私たち大辞泉執筆陣・編集部が大いに頭を悩ませているところです。

    多くの世論調査で「反対」の声が多数でしたが、執り行われました。(写真=雑誌協会代表取材)
    ≪次点≫ 新たな価値を生み出してほしい、【メタバース】に期待

    【メタバース】は、昨年ごろから目に付くようになり、今年、大いに語られた言葉です。約20年前の【セカンドライフ】との違いがよくわかりませんが、ネットの単なる「見せ方のひとつ」にとどまらず、「場」自体が売買され価値を生み出す仕組みがあるとのこと。今後どうなるかは未知数ですが、せめて1つは前向きな言葉を、ということで次点に選びました。

    小学館のメタバース空間「S-PACE」も拡大中。大辞泉コーナーも構築予定です。
  • 大賞の【キーウ】をご投稿いただいた方の中から抽選で1名様にAmazonギフト券10,000円分をプレゼントいたします。

    • 当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。
    • Twitterからの応募の方が当選した場合は別途ダイレクトメッセージにてお知らせし、お名前とメールアドレスなどをお伺いいたします。

    『大辞泉』が収録を検討している新語

    キャンペーン期間中に投稿された1,838語の新語の中から、実際に『大辞泉』に採用する可能性のある新語を編集部が毎月選定しました。合計34語の新語が選ばれました。

    5・6月の新語

    【組み戻し】
    誤送金したのち、送金先の承諾を得て送金分を戻す事務処理。

    【チェアリング】
    持ち運びできる椅子を野外に設置して、読書、食事、飲酒など思い思いに過ごすこと。

    【勝手橋】
    河川管理者の許可を得ずに、地域住民などが勝手に架けた橋。洪水に流されることもあるため「流れ橋」とも呼ばれる。

    【これじゃない感】
    自分の思っていたもの、期待していたもの、知っているものと微妙に違うこと。主に残念な意味で使われる。

    【匿顔(とくがん)】
    マスクを着用することが一般的になった社会において、コミュニケーションをとる際に相手の顔を知らないままであること。

    【トンデモ】
    「とんでもない」の略。もってのほかだ。「トンデモな発言」「トンデモ論」

    7月の新語

    【ローンウルフ】
    一匹狼的なテロ行為者。

    【パワーカップル】
    高収入どうしの共働き世帯のこと。

    【スクリューフレーション】
    生活必需品の物価上昇により中低所得層の生活が苦しくなる経済現象。

    【全振り】
    ゲームで、特定のパラメーターにすべての数値を割り振ること。特定の分野にひたすら注力すること。また、ありったけに使うこと。「かわいさに全振りした服」

    【学ちか】
    就職活動のエントリーシートや面接で、学生が力を入れて頑張ったり取り組んだとアピールする内容。

    【整う】
    サウナ、水風呂、休憩を繰り返す事で多幸感を得る。サウナ以外にも自分の趣味を通しサウナになぞって多幸感を得る

    8月の新語

    【モブ社員】
    会社で目立たない人、存在感のない社員。

    【シャドウバン】
    不適切な投稿をツイッターでした際に、自身のツイートが他のユーザーから検索されなくなること。

    【フラットアース】
    地球が球体ではなく、平面であるという主張。また、そのような地球。平面地球説。

    【宗教2世】
    特定の宗教を信仰する家に育った子どもたち。

    【顔パンツ】
    マスクのこと。パンツを脱いだ姿を見られるのが恥ずかしいのと同様に、マスクを外した顔を見られるのが恥ずかしいことから。

    【芯を食う】
    野球やゴルフで、ボールの中心をうまくとらえて打つ。また、核心をつく。的を射る。

    9月の新語

    【非ナチ化】
    ネオナチ、極右的な政府を倒すこと。また、これらの勢力に支配された地域を解放すること。

    【よっ友】
    「よっ」と挨拶しあうだけの関係しかない友達。

    【弔問外交】
    各国の王族・元首・首相などの死去に伴う葬儀において、諸外国から参列した要人が、その機会を利用して展開する外交。

    【パパゲーノ】
    死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で、死ぬ以外の選択をしている人。

    【量産型女子】
    ファッションやヘアスタイルの流行に忠実すぎて、他の女性と見分けが付かないほど没個性な女性たち。

    【使い倒す】
    徹底的に使う。使い尽くす。

    10月の新語

    【黙撮】
    複数人がマスクを外し、声を出さずに、集合写真を撮ること。

    【メニュー貸し】
    飲食店が、他店にレシピを教えてもらった料理を提供すること。

    【なつい】
    (主に若者言葉で) 懐かしい。

    【デジタル給与】
    銀行口座ではなく、資金移動業者のアカウントに振り込まれる報酬。

    【スペック】
    その人の外見・学歴・年収など。

    【ずぶずぶ】
    悪いとされている人や団体と仲がよく、批判されても縁を切るのが難しい状況のこと。

    11月の新語

    【ヌン活】
    リッチにホテルでアフタヌンティーを食べながらおしゃべりを楽しむこと。

    【知らんけど】
    自身のは発言内容に自信が持てない場合、語尾に付ける言葉。

    【倍速視聴】
    テレビや映画、ネット配信など、元々の映像速度を変えて、再生・視聴すること。

    【方向感】
    ものごとがある方向へむかうという感じ。

    • 投稿された語釈がそのまま収録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し『大辞泉』各種アプリなどに収録する予定です(一部の新語は、今年8月改訂時に既に収録しています)。

    応募要項

    • 概要

      『大辞泉』に未収録の新語を広く募集します。月ごとに小学館『大辞泉』編集部が収録候補となる言葉を選定し発表。また2022年12月頃には「大辞泉が選ぶ新語大賞」を発表します。それらの解説の執筆を編集部が各分野の専門家に依頼し、でき上がった項目を2023年4月の改訂時に『大辞泉』デジタル版に収録します。 goo辞書、コトバンク、ジャパンナレッジでも順次掲載いたします。

    • 募集期間

      2022年5月18日(水)〜11月13日(日)

    • 応募方法

      本ページより「応募フォーム」または「Twitter」から投稿してください。

    • Twitterからの投稿方法

      1. STEP1
        大辞泉

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      2. STEP2
        ハッシュツイート

        「新語」&「新語義(意味)」をツイート。 #大辞泉新語 のハッシュタグをつけて投稿してください。

      3. STEP3
        ダイレクトメール

        賞品が当選された方には、twitterのダイレクトメッセージでお知らせいたします。

    • 賞品

      期間中に投稿された方の中から抽選で毎月30名様(合計180名様)に、Amazonギフト券500円分をプレゼントいたします。またキャンペーン期間終了後、大辞泉編集部が、投稿されたすべての新語の中から「大辞泉が選ぶ新語大賞」を選定し発表いたします。その新語を投稿いただいた方の中から抽選で1名様に、Amazonギフト券10,000円分をプレゼントいたします。

      • 当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。
      • Twitterからの応募の方が当選した場合は別途ダイレクトメッセージにてお知らせし、お名前とメールアドレスなどをお伺いいたします。
    • 審査

      大辞泉編集部で行います。

    • お問い合わせ先

      小学館 大辞泉編集部 info@daijisen.jp

    • 投稿例

      ※昨年の新語大賞に入選した「新語」とその投稿語釈の例です。

      【チルする】
      のんびりする。まったりする。
      【溶かす】
      資産運用などの結果、元本が減ること。
      【これじゃない感】
      想定と異なる結果。

    応募規約

    • 個人情報の
      取り扱いについて

      本企画の管理・運営に当たり、事務局が利用者から取得した個人情報は、株式会社小学館が別途定めるプライバシーポリシーに従って取り扱われます。

    • 注意事項

      • 募集するのはご自身で見つけた「新しい言葉」、既存の言葉の「新しい意味、使われ方」であり、オリジナルの「造語」や「自分で考えた新しい言葉」ではありません。
      • 誹謗中傷や公序良俗に反する内容の投稿の場合、事務局の判断で応募の対象外とさせていただく場合があります。
      • 異なる内容の投稿であれば、投稿数に制限はありません。おひとり何回でも投稿いただけます。

    これまでの受賞作品

    第6回
    1. 大賞
    2. 次点
    • 大賞の【親ガチャ】の語釈は一般から投稿されたものです。今後、編集部で立項の採否を検討し、立項する場合は、執筆陣による語釈が『デジタル大辞泉』に収録されます。
    • 次点の【人流】の語釈は今年4月に既に『デジタル大辞泉』に立項済みです。