これまでの受賞作品 第2回
大辞泉が選ぶ新語大賞

  • 大賞

    【インスタ映え】

    写真投稿サイト「インスタグラム」に投稿したときに、多くの読者から共感を得られる写真の出来映えの良さ。

2017年
新語投稿数
ベスト7

  • 【文春砲】
  • 【都民ファーストの会】
  • 【横入り】
  • 【シンデレラフィット】
  • 【希望の党】
  • 【ガチ勢(ぜい)】
  • 【パラダイス文書】

選評

選考委員

『明治大学国際日本学部教授』田中 牧郎 たなか まきろうの顔写真

明治大学国際日本学部教授

田中 牧郎 たなか まきろう

1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学 部・教授。国立国語研究所・運営会議委員。主な著書に『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『コーパ スと日本語史研究』(ひつじ書房/共著)ほか。

総  論

容姿へのホメ言葉が、新しく生まれました。
ルッキズム批判をかわす工夫?――

第2回「大辞泉が選ぶ新語大賞」には、2,424本の新語が寄せられました。そのうち、キャンペーン期間中の5~11月に毎月選定した「今月の新語」計50語を検討し、【インスタ映え】を「2017年の新語大賞」に選定しました。語釈は、「写真共有アプリ、インスタグラムに投稿した際、見映えのよいこと」、用例は「インスタ映えする写真」などです。これを、『大辞泉』各種アプリや、Web辞書などに収録します。

インスタグラムの普及にともなって一気に広がってきた言葉ですが、最近は、写真を撮る前の素材や場所の良さについて、写真になったときの見映えを想定して「インスタ映えするスイーツ」「インスタ映えするカフェ」などとも用いられ、意味の拡張が見られます。また、インスタグラムなどのSNSに関係しない場面で、単に、写真がきれいに撮れることを言う場合もあります。

今やSNSは新語拡散に絶大な力を発揮していますが、【インスタ映え】は、それが生んだ新語を自らの力で普及させたケースになります。同じSNSでも、言葉が主体であるツイッターやフェイスブックではなく、写真が主体のインスタグラムから、ほかならぬ写真に焦点を当てた言葉が勢いを強め、ダントツの得票数を得ました。一方で、インスタ映えする写真を撮ることに躍起になっている人を揶揄した「インスタ蝿」を大賞に推す声も少なくなく、【インスタ映え】の流行に辟易している人もいるようです。

【インスタ映え】について、言葉の成り立ちとして目を引くのは、和語「-ばえ」を含んでいることです。「-ばえ」の元の形「はえ」は、動詞「はえる(映・栄)」の連用形が名詞化したもので、『源氏物語』のころから、はなやかに引き立つことを意味して使われてきた、長い伝統を持つ言葉です。「-ばえ」には、近年まで、「見ばえ」「出来ばえ」のように、動詞の連用形に付く用法か、「夕映え」のように、夕日や薄明かりを表す名詞に付く用法しかありませんでしたが、最近になって、「スクリーン映え」「動画映え」「テレビ映え」など、姿が映る媒体を表す名詞に付く用法が登場しており、【インスタ映え】の誕生と普及は、この動きの先端を行くものでしょう。また、従来、「写真写り」「テレビ映り」など、「-うつり」の形で用いられてきた言葉が、「-ばえ」の形に移行する動きも見えており、「写真映えする二人」「テレビ映えする企画」などと使われています。新しいコミュニケーションツールでは、そこによくうつるだけでなく、はなやかに引き立ち、それが次のコミュニケーションを呼び起こすかどうかまでが重視されるようになってきたのでしょう。

今後は、「インスタ」の普及がどこまで進むかとともに、「-ばえ」の造語力がどこまで高まるかに目が離せません。

『大辞泉』に採用が
決定した
新語をご紹介します

キャンペーン期間中に投稿された
新語の中から、
実際に『大辞泉』に採用する可能性のある
新語を編集部が毎月選定しました。
合計50語の新語が選ばれました。

皐月

5

  • 【アクブレ事故】

    自動車のアクセルとブレーキを踏み間違えて起こる事故。

  • 【文春砲】

    週刊誌「週刊文春」に頻繁に掲載されたスクープを、連射する大砲にたとえた語。2016年ごろ、同誌のスクープが社会に大きな影響を与えたことから生まれた言葉。

  • 【じわる】

    じわじわ面白くなる。

  • 【自国第一主義】

    他国との協調をかえりみず、自国の利益を最優先とする政策。

  • 【パワーワード】

    相手に強く伝わる印象的な言葉。文中で特に重要な言葉。

  • 【一本お化け】

    禁煙中に、1本だけなら大丈夫と吸いたくなる誘惑や油断を化け物にたとえた言葉。

水無月

6

  • 【ラブドール】

    ダッチワイフのうち、容姿を精巧に人に似せてあるもの。

  • 【印象操作】

    第三者に特定の事柄や人物について、自己に都合のよいイメージ・心象を植え付けようとする悪意ある行動。

  • 【裸芸】

    裸でするお笑い芸。

  • 【びびり】

    怖がりな人。

  • 【都民ファーストの会】

    小池百合子東京都知事を支持する議員が結集した政党。

  • 【一択】

    それしか選択肢がないこと。

  • 【転妻】

    転勤が多い仕事に就いている夫を持つ女性のこと。

  • 【ミリオタ】

    軍事関係が好きな人のこと。軍事マニア。ミリタリーマニアの略。軍隊そのものが好きな人や、兵器が好きな人などに分かれる。

文月

7

  • 【ゆう活】

    夕方、早めに仕事を終え、私的な活動を充実させること。

  • 【前泊】

    目的があって遠出する際に、目的の時刻に遅れないよう、予め前の日の夜に目的地の近くに宿泊すること。

  • 【ヒングリッシュ】

    ヒンディー語なまりの強い英語。

  • 【地元民】

    その土地に住む人。

  • 【寄せ胸】

    胸を大きく見せるため、左右の胸を中央に寄せること。

  • 【ため語】

    対等な関係の親しい者どうしが使う言葉づかい。ため口。

  • 【横入り】

    割り込みのこと。

  • 【検索窓】

    インターネットブラウザなどで検索したい言葉を入力する所。

葉月

8

  • 【ストレートニュース】

    報道するメディア・団体・個人の立場や主張に沿った内容、またコメンテーターの論評などは極力排除し、実際にあった事象や裏取りの取れたもののみを客観的に伝えるニュース。

  • 【負動産】

    極端に値下がりし、しかも売れる見込みのない、負担にしかならない不動産。

  • 【ポリコレ棒】

    ポリティカルコレクトネスの視点で人の行動を抑制・批判する過剰なルール。

  • 【シンデレラフィット】

    衣類や靴などのサイズがちょうどいいこと。収納器具に中身がぴったり収まること。

  • 【現役出向】

    政府系法人に、現役の官僚が出向すること。

  • 【長傘】

    折り畳み傘に対し、折り畳み式ではない従来の傘のことをいう。

長月

9

  • 【希望の党】

    小池百合子東京都知事が設立した国政政党。

  • 【加熱式タバコ】

    燃焼させず、加熱してニコチンなどの成分を抽出するタバコ。

  • 【ダブル不倫】

    配偶者がいる者どうしが浮気すること。

  • 【スターマイン】

    短時間に様々な種類の花火を連続して打ち上げる演目のこと。

  • 【変声機】

    声色を変えられる機能のある機器のこと。ボイスチェンジャー。

  • 【ひっつき虫】

    服によくつく植物。オナモミの実やセンダングサの種子など。

  • 【ぱっつん】

    まゆ上の短い長さでそろえた前髪のこと。

  • 【バック絵】

    主に体育の行事で、そのチームを象徴して描かれた大型の絵画。チームの背後に置かれることからこの名前が付いた。

神無月

10

  • 【ひやおろし】

    冬に絞られたあと、加熱処理を1度しか行わない日本酒。

  • 【生活残業】

    残業代を稼ぐためにする、不必要な残業。

  • 【進路多様校】

    生徒の進路先が四年制大学進学・専門学校進学・就職など多岐にわたる学校(特に高校)。進学校や実業校に対して使われる。

  • 【ガチ勢】

    娯楽や趣味に取り組む際に生半可な気持ちではなく、極めて真剣に取り組む人々のこと。

  • 【洗い替え】

    貸倒引当金などの経理処理で、当期の金額を計上するにあたり、前期との差額を計上するのではなく、前期の計上を全額戻し入れて、当期の金額を改めて計上すること。

霜月

11

  • 【雰囲気イケメン】

    よく見ると格好良くはないが髪型や服装で補正されている男性。

  • 【エモい】

    感動・心が揺れ動かされるようす。

  • 【スタンプトーク】

    LINEのスタンプだけで会話が成立すること。

  • 【誤爆】

    誤ってLINEの送信をしてしまうこと。

  • 【オン眉】

    眉毛の上に前髪の先があること。眉毛がちょうど見えないくらいの前髪の長さ。

  • 【インスタ映え】

    写真投稿サイト「インスタグラム」に投稿したときに、多くの読者から共感を得られる写真の出来映えの良さ。

  • 【空母打撃群】

    アメリカ海軍の艦隊の一種。航空母艦を中心に護衛艦や潜水艦などからなる。

  • 【アムロス】

    安室奈美恵の引退宣言にショックを受け何も手につかない状態。

  • 【パラダイス文書】

    2017年にバミューダ諸島の法律事務所などから流出した文書。前年のパナマ文書と同様に、世界中の富裕層の金融取引が明らかになった。

※ 投稿された語釈がそのまま収録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し『大辞泉』各種アプリなどに収録する予定です(一部の新語は、2017年8月・12月の改訂時に既に収録しています)。