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大辞泉が選ぶ新語大賞2024 大賞発表

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第9回 大辞泉が選ぶ 新語大賞発表

募集期間:2024年5月12日~11月15日
投稿総数:2,731本
  • 大賞

    【ホワイト案件】

    本来は犯罪にならない仕事のことだが、SNSで強盗などの闇バイトがホワイト案件と偽って募集されることがあり、社会問題となっている。
    ※ウッシャンさん投稿の語釈

  • 次点

    【フキハラ】

    「不機嫌ハラスメント」の略。これみよがしなため息など、不機嫌さを押し出すハラスメント。
    ※妥協老人さん投稿の語釈

  • 次点

    【静かな退職】

    企業に属しつつ、やりがいを求めず、必要最低限の仕事のみ淡々とこなす働き方。あたかも退職したかのように、仕事に対するエネルギーを失いつつ働くこと。
    ※クラゲさん投稿の語釈

2024年
新語投稿数
ベスト10

  • 【50-50(フィフティ-フィフティ)】
  • 【インプレゾンビ】
  • 【風呂キャンセル界隈】
  • 【猫ミーム】
  • 【ホワイト案件】
  • 【メロい】
  • 【もしトラ】
  • 【石丸構文】
  • 【マルハラ】
  • 【無課金おじさん】

※【押し活】も上位でしたが一昨年、昨年も投稿ベスト10入りしていたので除外しました。

選評

選考委員

  • 『明治大学国際日本学部教授』田中 牧郎 たなか まきろうの顔写真

    明治大学国際日本学部教授

    田中 牧郎たなか まきろう

    1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学 部・教授。国立国語研究所・運営会議委員。日本語学会・評議員。主な著書に『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『コーパ スと日本語史研究』(ひつじ書房/共著)ほか。

【ホワイト案件】

【闇バイト】と対をなす言葉ですが、
じつは同義語――

大賞

昨年の『大辞泉』新語大賞、次点の新語が【闇バイト】でした。今年の【ホワイト案件】は、それと対になる新語といえます。いや、【ホワイト案件】は、本当は闇であることを隠して、さも安全な仕事のように見せているだけですから、対ではなく、むしろ同義語なのかもしれません。昨年までの報道では、犯行グループは悪事と分かって参加しているふうでしたが、今年は凶悪化・頻発化が進む一方、末端の実行犯は【ホワイト案件】だとダマされ、途中からは脅されてやらされている被害者の面もあるということが分かってきました。これらを示す【匿名・流動型犯罪】や、その略称【トクリュウ】という言葉も数多く投稿されました。

【ホワイト案件】が流行語になり、今後は闇バイトが
そう自称することは減り、巧妙化するはず…。

【フキハラ】

怒りを抑えているのに、
それでも責められる場合も――

次点

部下や配偶者などに、ガミガミと直接怒ることはしないものの、これみよがしな態度で怒りを示してしまうのが不機嫌ハラスメント、略して【フキハラ】。具体的には、ため息・舌打ち・無視・無言になるなどなど。ドアの開閉やパソコンのタイピングで大きな音を立てるケースもあるそうです。やられた側は、具体的な言葉で責められているわけでないので、釈明や反論できない……これがストレスになるというわけです。しかし、やってしまっている側は、「ホントは怒りたいけど、それは我慢する」という時点で、一定の譲歩をしているんだ! という気持ちかもしれません。上の「総論」でも触れた【マルハラ】のように、世代や立場によって、相手が何を不快に思い、恐怖しているかが分かりづらい時代。手探りの生き方は、お互いにとって疲れてしまいますね。

せき払いや腕組みも【フキハラ】と
受け止められることがあるのだとか。

【静かな退職】

「なまけ」との境界を超えずにどう過ごすか、
それなりのテクニックが必要?

次点

パ~ッとにぎやかな送別会ナシの退職……ではありません。実際は、まだ退職していないビジネスパーソンが、あたかも既に退職してしまったかのように、最低限、やるべきことのみやるだけという状態のことです。2022年、米国のあるキャリア・カウンセラーが「quiet quitting」という生き方を提唱し、世界中で支持されたのが始まり。日本では、直訳の【静かな退職】が、昨年ごろからメディアで見られるようになりました。このような働き方をする動機は、私生活を重視してワークライフバランスを求めるというポジティブなもののほか、もう出世は見込めないと分かったから、本当の定年退職まで適当にやり過ごすという考えもあるといいます。どうにかこうにか終身雇用制が残っている日本だから許容される働き方のように思えますが、ドライな雇用制度の米国発祥だというのは意外な感じを受けます。また、中高年だけでなく若い世代にも広まりつつあるという調査もあり、頭を悩ます経営者も多いことでしょう。

【静かな退職】も、あまり目立ってしまうと
「静か」とはいかなくなりそうです。

月間賞

ご応募いただいた新語の中から毎月、編集部が選定した月間賞を発表いたします。

6月の月間賞

水無月

7月の月間賞

文月

8月の月間賞

葉月

9月の月間賞

長月

10月の月間賞

神無月

11月の月間賞

霜月

これまでの受賞作品

第8回(2023年)

第7回(2022年)

第6回(2021年)

第5回(2020年)

第4回(2019年)

第3回(2018年)

第2回(2017年)

第1回(2016年)

第8回
2023年

大賞

【生成AI】

あらかじめ学習したデータをもとに、画像・文章・音楽・デザインなどを新たに生成する人工知能の総称。拡散モデルやGANなどの機械学習の手法により、文章からイラストを作成する画像生成AIや、人間と対話しているかのような自然な言葉遣いで文章を生成する対話型AIなどが開発されている。
※大辞泉の語釈

次点

【闇バイト】

強盗や詐欺などの犯罪の一部分をアルバイトとして代行すること。
※のんちゃんまんさん投稿の語釈

次点

【蛙化現象】

心理学で、好意を持つ相手が、自分に好意を持ち始めると、相手に嫌悪を感じる状態、嫌われるかもしれないという不安から起こる自己防衛とみられている。
※大辞泉の語釈

第8回(2023年)

大賞

【生成AI】

あらかじめ学習したデータをもとに、画像・文章・音楽・デザインなどを新たに生成する人工知能の総称。拡散モデルやGANなどの機械学習の手法により、文章からイラストを作成する画像生成AIや、人間と対話しているかのような自然な言葉遣いで文章を生成する対話型AIなどが開発されている。
※大辞泉の語釈(4月立項)

次点

【闇バイト】

強盗や詐欺などの犯罪の一部分をアルバイトとして代行すること。
※のんちゃんまんさん投稿の語釈

次点

【蛙化現象】

心理学で、好意を持つ相手が、自分に好意を持ち始めると、相手に嫌悪を感じる状態、嫌われるかもしれないという不安から起こる自己防衛とみられている。
※大辞泉の語釈(10月立項)

※大賞の【キーウ】の語釈は一般から投稿されたものです。今後、編集部で立項の採否を検討し、立項する場合は、執筆陣による語釈が『デジタル大辞泉』に収録されます。
※次点の【国葬儀】【メタバース】の語釈は今年4月に既に『デジタル大辞泉』に立項済みです。

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第7回(2022年)

大賞

【キーウ】

ウクライナの首都。同国中北部、ドニプロ川中流に沿う工業都市。精密機械工業が発達。9~13世紀にキーウ公国の首都として繁栄。ギリシャ正教協会などの名所・旧跡が多い。キーフ。ロシア語名キエフ。
※大辞泉の語釈

次点

【国葬儀】

国葬のようで国葬でない葬儀。
※まここしゃんさん投稿の語釈

次点

【メタバース】

心《meta(超越した)とuniverse(世界)の合成語》インターネット上に構築される仮想の三次元空間。利用者はアバターと呼ばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流する。
※大辞泉の語釈

2022年の新語投稿数ベスト10【2世信者/宗教2世】 【ウクライナ侵攻】 【ととのう】 【大谷ルール】 【顔パンツ】 【メタバース】 【知らんけど】 【国葬儀】 【インボイス制度】 【おじさん構文】
※【マスク美人】【推し活】も上位でしたが、昨年も投稿数ベスト10入りしていたので除外しました。【ととのう】は一般的な「整う」でなく、サウナで爽快になるという意味での投稿でした。

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第6回(2021年)

大賞

【親ガチャ】

子供がどんな親のもとに生まれるのかは運任せであり、家庭環境によって人生を左右されることを、カプセルトイのランダム性に例えた言葉。

次点

【人流】

人の、移動を伴う一連の動静。また、人々の流動や動線。
※大辞泉2021年4月立項

※大賞の【親ガチャ】の語釈は一般から投稿されたものです。今後、編集部で立項の採否を検討し、立項する場合は、執筆陣による語釈が『デジタル大辞泉』に収録されます。
※次点の【人流】の語釈は今年4月に既に『デジタル大辞泉』に立項済みです。

2021年の新語投稿数ベスト10【親ガチャ】【人流】【ゴン攻め】【推し活】【まん防】【副反応】※1【マスク会食】【マスク美人】【マリトッツォ】【SDGs】※2
※1は2011年、※2は2017年に『大辞泉』に立項済みですが、今年あらためて話題になり、多く投稿されましたので、投稿数ベスト10から除外しませんでした。

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第5回(2020年)

大賞

【三密】

①密教で、身・口・意の三業。手に印を結ぶ身密、口に真言を唱える口密、心に本尊を観念する意密。
②感染症の蔓延を防ぐために、人々が避けるべき3つの行動。換気の悪い密閉空間に居ること・多くの人が密集する場所に居ること・近距離での密接した会話をすること。令和2年(2020)、COVID-19流行の際に東京都が提唱した。

次点

【コロナ禍】

新型コロナウイルス感染症の流行によって引き起こされる、さまざまな災い。感染症自体だけでなく、それを抑止するための経済活動の自粛や停滞、人々の疑心暗鬼なども、広く含む。

※【三密】の(1)は1995年刊の『大辞泉』初版から掲載されている既存語釈です。
※どちらも編集部執筆の正式な語釈で、【三密】(2)は今年4月に既に、【コロナ禍】は12月に公開予定です。

2020年の新語投稿数ベスト10【経年美化】【コロナウイルス/新型コロナウイルス】【コロナ○○】【自粛警察】【三密】【オンライン○○】【ぴえん】【アベノマスク】【おうち時間】【Go To ○○】

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第4回(2019年)

大賞

【イートイン脱税】

食品を持ち帰り税率の8パーセントで会計して、イートインで食べること。本来であればその場で食べる場合は税率10パーセントで会計しなければならない。

次点

【闇営業】

芸人がプロダクションを通さないで仕事を請け負うこと。また特に、裏社会からの誘いで仕事を請け負うこと。

次点

【にわかファン】

心これまで関心がなかった物事に対し、流行等で急に興味を持ち、その事柄についてよく知っていないがファンになる人のこと。

2019年の新語投稿数ベスト10【タピる】【令和】【上級国民】【ワンチーム】【闇営業】【タピ活】【草(草生える)】 【ポイ活】【イートイン脱税】 【にわかファン】

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第3回(2018年)

大賞

【空白恐怖症】

自分の仕事がないときに、あたかも仕事をしているように見せるためにダミーの予定やフェイクの予定を入れるほど、自分の予定が空白な事を恐れること。

次点

【卒婚】

結婚の卒業。結婚という形式は維持しながらも、夫婦が互いに干渉せず、それぞれの人生をそれぞれに歩んで行く。

次点

【ご飯論法】

言い逃れ答弁の論法で、「朝ごはんを食べましたか?」という質問に「(朝、パンは食べたけど、ごはん=米飯は)食べていない」と答えるようなやり方。

最終選考まで残った2018年の新語11選【億り人】【フェアプレーポイント】【じたハラ】【空白恐怖症】【介護脱毛】【いみふ】【スーパーボランティア】【まるっと】【卒婚】【多浪生】【ご飯論法】

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第2回(2017年)

大賞

【インスタ映え】

写真投稿サイト「インスタグラム」に投稿したときに、多くの読者から共感を得られる写真の出来映えの良さ。

最終選考まで残った2017年の新語7選【文春砲】【都民ファーストの会】【横入り】【シンデレラフィット】【希望の党】【ガチ勢(ぜい)】【パラダイス文書】

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第1回(2016年)

大賞

【トランプ-ショック】

2016年のアメリカ大統領選挙で、ドナルド=トランプ候補が勝利したことで起こった、金融市場などの混乱。

最終選考まで残った2016年の新語9選【熊本地震】【顔芸】【ブレグジット】【インスタグラマー】【セカンド-レイプ】【ジェンダー-レス】【消しカス】【ポケモノミクス】【茹でこぼし】

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5・6 月の月間賞 7月10日発表

【もしトラ】

2024年に行われるアメリカ大統領選で「もしトランプ氏が再選したら」の略。再任した場合、対策の必要性や各方面への影響が懸念されることから使われだした。

【文転】

高校生・大学生などが、理科系から文科系に〈所属/志望〉を変えること。

【猫ミーム】

猫を使ったインターネットミーム全般。とくに過去にバズった猫の動画の切りぬきを素材として、台詞やキャプションをつけた、日常生活を中心とした再現動画のこと。

【インプレゾンビ】

X(旧Twitter)で投稿のインプレッション数を稼ぐために迷惑な投稿を繰り返すアカウント。

【スペパ】

スペースパフォーマンスの略。限られた空間を利用してどれだけの利便性や快適さが得られるか。

【エシカル就活】

就活生が、受ける企業を選ぶ際に、社会問題に対してどのような取り組みを行っているかを軸に考えて行う就職活動。

7 月の月間賞 8月10日発表

【トナラー】

バスや電車などで、他に空席があるのに意図的に特に女性の隣に座ろうとする人。

【経済圏】

国際的または国内的に密接な経済関係のある一定の地域。また、消費や投資といった経済活動を特定の会社のサービスで完結させること。

【スケジュール感】

仕事などで相手にどんな流れでスケジュールを考えているかを聞きたいが、ダイレクトに聞くのが失礼にあたりそうな時に、遠回しに聞く表現。

【フキハラ】

不機嫌ハラスメントの略。ドジをしてしまった後輩が「すいませんでした」と言っている前で、先輩が「はあ…」とためいきをつくように相手を不機嫌にさせること。

【可食部】

食べられる部分。

【応援上映】

映画館で、声を出して応援しながら鑑賞することができる上映。

8 月の月間賞 9月10日発表

【スポーツウォッシング】

国家がスポーツを利用して、自身のイメージ向上や問題の隠蔽を図る行為。

【氷タンフル】

氷水の中に冷凍フルーツを入れ、混ぜると、冷凍フルーツに氷の層ができて、食感がフルーツ飴のようになる。

【ラン活】

ランドセルの購入活動。ランドセルを求めて全国の小学生に上がる子供をもつ親がする行動。

【傾聴地蔵】

話を聴いて頷くだけで何もしてくれない上司。

【ソーラーパンク】

太陽光発電などの持続可能エネルギーの技術が発展し、自然とテクノロジーが共存した未来社会のこと。またはそうした社会・思想・イメージを描いたジャンル。

【南海トラフ地震臨時情報】

発生が予想されている南海トラフ巨大地震に関して、想定震源域およびその海溝軸外側50キロメートル程度の範囲で異常が発生した場合など地震発生可能性が相対的に高まった際に気象庁が発表する情報。

9 月の月間賞 10月10日発表

【キダルト】

キッド+アダルトの造語。子供の心を持った大人。玩具などに熱中する大人。

【スンとする】

真顔になり、感情が無になる。

【静かな退職】

企業に属しつつ、やりがいを求めず、必要最低限の仕事のみ淡々とこなす働き方。あたかも既に退職したかのように、仕事に対するエネルギーを失いつつ働くこと。

【50-50】

(フィフティ-フィフティ)大リーグで1シーズン50本塁打50盗塁を達成すること。大谷翔平選手が従来の40-40を超えて達成し話題となった。

【まんが盛り】

白米を茶碗からはみ出るまで盛ること。

【VIO】

(ブイアイオー)Vライン・Iライン・Oライン。デリケートゾーンを、三つの文字の形に見立てたもの。

10 月の月間賞 11月10日発表

【猫ミーム】

猫の面白い画像や動画を使って日常の出来事やあるあるネタを再現した動画。

【ホワイト案件】

本来は犯罪にならない仕事のことだが、SNSで強盗などの闇バイトを偽って募集するときの称。

【解像度が高い】

まるで画像が鮮明に見えるかのごとく、物事や思考の詳細がはっきりとし理解されやすいこと。

【あれオレ詐欺】

あれはオレがやった仕事とか、オレのおかげで成功した、などと自分を誇示すること。

【退所】

芸能人が事務所を離れて独立すること。

【ホス狂い】

ホストにハマり、大金を貢ぐ女性。ホスト依存症。

11 月の月間賞 12月2日発表

【103万円の壁】

基礎控除と給与所得控除を合わせた額が103万円で、年収がこれを超えると所得税が発生する。アルバイトで働く学生の場合、親の所得税の控除に影響することがあり、注意が必要。

【ソフト老害】

年上と年下の間に立ち、年下の意見をくみ取ったつもりが実はその行動が老害にみえている状態。

【トクリュウ】

匿名・流動型犯罪グループの略。自分たちが何者かを名乗らず、匿名性の高いSNSなどで実行役を集めて、特殊詐欺などの犯罪を行う集団。

【誤用警察】

単語や慣用句などの誤用を点検して、ことさらに指摘する人。

【マルハラ】

SNSなどの文章が「。」で終わると若者は威圧的でハラスメントを受けたように感じる、というもの。マルハラスメント。何でもかんでもハラスメントにしてしまうのは若者から年長者へのハラスメントともいえる。

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